日本人のヘルスリテラシーの現状

ヘルスリテラシーを簡単にいうと、健康情報を入手、理解、評価、活用する能力のことである。ヨーロッパで開発されたヨーロッパヘルスリテラシー調査質問紙は個人の能力だけでなく生活の様々な場面で、ヘルスリテラシーがないと困難な状況を包括的に測定できる尺度だ。47の項目について、とても簡単、やや簡単、やや難しい、とても難しいの4つの選択肢で回答する。日本でもこの質問紙を使ってインターネットによる調査が行われた。対象となったのは調査会社にモニター登録している20歳から69歳の男女で、地域や年齢などの属性に偏りが出ないように行い1054人から有効な回答を得た。これによると50点を満点とするヘルスリテラシーの平均点で見たとき、日本は25.3点で最も得点の高かったオランダの37.1点とは11.8点の開きがあった。調査結果が公表されているアジアとヨーロッパを合わせた15か国の中で日本の得点は最低となっており、日本人のヘルスリテラシーは低いといえる。臨床の現場でも日本の糖尿病患者は健康診断の結果を無視し、約半数しか受診しないことがわかっている。2008年のデータでは、生活習慣病が指摘される血圧が200を超える高血圧で約7割、脂質異常の約9割が未受診であった。医師の実感としても患者は予防医学に興味がなく、出血、心臓の痛みなど目に見える形で症状が出るまで医師に相談することはないそうだ。ヘルスリテラシーが低い原因としては、日本のプライマリケアやメディアリテラシーの不足などが考えられる。